我未足得木鶏

ディプロマシーについてあれこれ。

2024年3月24日 ボイスチャット・ディプロマシー会・「春の目覚め」 行軍譜と所感

レギュレーション

プレイ時間4時間30分・外交時間は25~20分。

プレイ目標・「できうる限り制覇を目指すが、ゲーム展開上それが不可能と判断したならば1補給地でも生き残りを図る」ことを目的としプレイし、終了時点で「こそのあと最も制覇の可能性の高い国家のPL」とゲームの過程で最も健闘したPLを「MVP」として評価する。

 

(陸軍 A  艦隊 F  移動 -  支援 S  輸送 C  維持 H で表記)

 

1901春行軍

西では英がウェールズOP、仏がイングリッシュディフェンスと衝突する中で独はBur攻撃ではなくBel確保で3増を狙います。 伊はレパントだがA Ven-Pieで仏に対し圧力をかけ、墺はバルカンギャンビット(ガリシアVer)。

土はブラックシー・エクスチェンジで01秋にFをAgeに持って行く構えですが01春に露にBlaを渡したことがどう出るでしょうか? 

露はサザンディフェンスでBlaに入れたことは大きな成果ですが西側で仏英が強力に殴りあってしまったため露土で組んでも少数派になってしまう懸念が極めて高い状況。 英独墺伊のラインがそれなりに固そう(独がBur攻撃してないので、『それなり』)な状況で秋にどう動くか?

 

1901秋行軍

英はEngに侵入、仏はF Bre-MaoしてBreを空け増設をF Breとすることで英に2艦隊を当てれるように動きます。 独はSwe SO実施の上で悠々3増。 伊は対仏圧力を掛けながらのレパント、墺はバルカンギャンビット遂行。

露はここでF Bla-ConではなくSevでSOしBlaを確保することで土を切ります。

その土ですがA Bul Hは… 西の状況を考慮すれば墺との連携に使うべき軍だし、露土完遂ならA Bul S (A Ukr-Rum)なりしないといけない。 正直これでは「鼎の軽重が問われ」てしまいます

 

1901増減

英仏独墺伊の増設は予定調和ですが、逆に露土のそれは大きく目を引きます。

露はF Stp(nc)を選択し仏のF Breに呼応するとともに仏独露の三国海驢(対英)につなげる狙いのようです。 

土のA Conは面白いですが、盤面は厳しく大きく外交で動かさなければジリ貧となるように見えます。

 

1902春行軍/英のF EngはNthへ撤退

西では仏が全ての攻撃をブロックし体制を保ちます。 英はEngから撃退され、独はBurに(確実に入れたにも関わらず)侵入できず、となり対仏は「日暮れて途遠し」といった状態。

東では伊がレパントの成功を確実なものとし、独墺の大軍にWarが包囲され露土両国が大きく揺らぎます。

ただ土はBulを絶対防御するなら露にF BlaとA Armでの合意SOを持ち掛けないとBulが保てないし、その露もStpとBlaの二つのFに維持命令を下しています。 F Stp(nc)-NwyやF Bla S (A Rum H) or など「やって損はない」行動はあり極力維持命令は下したくないところです。

 

1902秋行軍/仏のF EngはBreへ撤退

英がEngに再侵入、独はSweとWarを確保と躍進するも西では何故かBelの失陥を恐れ仏軍のBur侵入を許してしまいます。 また墺は土の(独視点では)「謎の反転」によりBulを手に入れます。

 

1902増減

独8墺6と伸びるも英独・伊墺間で大きくバランスが崩れる。

それが次の年にどう響いてくるでしょうか?

 

1903春行軍/墺のF Bul(sc)はGreへ撤退

英が仏と組みなおし対独に向かう。 正直ここまで独が対仏に力を入れてない以上残当でしょう。 ただ仏もF Por-Spa(sc)ではなくMaoにFが動きます。 仏伊でMarでSOした場合動けなくなってしまうのでそうしたのかもしませんが、何にせよ「可能性」に満ちた位置にFが入る事となりました。

墺伊は複雑な動きを見せます。 墺はF Bul-AgeでBulからの撤退を意図するとともにTyrへ進出し、伊はAgeへ支援付きでFをねじ込みA Pie-Venで墺に備えます。

正直盤面からでは両国の意図を探るのは難しいですが、伊の動きは(例えばAlbにA Syrを動かすなど)徹底した対墺転換という訳でもないので主導権は墺側に残りそうです。

 

1903秋行軍

決定的な転換点となった03秋。 独の動きは仏独露への転換を意図したものでポイントとなるのは仏のF Maoの存在。 F Mao-Iri,F Bre-Mao,A Bur-Gas,A Pic-Bur,A Mar-Burで英補給地LvpへGasからAを送り込めるプラン提示~仏受諾~それ前提での行軍でした。

実際確実に英本土へAを送り込める訳でそれなりには訴求性のあるプラン(のように思う)ですが独側にはそうせざるを得ない事情がありました。 この部分は後半に記載します。

結果的には独はMunに、伊はPieに仏Aが侵入し両国は厳しい状態に。

 

1903増減

 

1904春行軍/仏のA MunはKieへ撤退、伊のA Armは解体

ここで墺は仏からのVen攻略のSと引き換えに「伊切り」を選択。

その仏はF Mao-Nafという「魅力的な選択肢」を捨ててEngへ入ります。 合意、つまり対独の攻撃ポイントを増やすため、みたいな話と聞いてましたが、すでにBelを確実に攻略できる状態にある以上必要性は薄く、「市に虎を放つ」ように見えます、虎の意図が那辺にあるかわかりませんが。

 

1904秋行軍

仏はWalに上陸。 この秋に自身が8補給地になれば英が独を切ったロジックが自分に跳ね返ってくるためそうなるか。 東も本来Bulが陥ちる場面では無いのですが…

 

1904増減

仏はBreとMarで2つのF建造を選択。 正直そこまで形は良くないが墺の今後の成長速度を考えると無理をしていかなければいけない場面でもあり決断したか。

墺は逆にAのみの増設。 Triで建造したFは展開までに時間がかかるのでここでBuildしておいた方が良かったかもしれません。

 

1905春の盤面

英4仏8独5墺8伊3露3土3と仏墺2強の盤面。

ここからの明日を占う為、N氏と一問一答を行ってみました。

 

問「制覇に最も近い国はどこか?」 答「墺であり僅差で仏、仏制覇は外交頑張る必要がある。」

問「制覇自体は出るか?」 答え「出るだろう。 どちらかを包囲する態勢になってないのだから。」

氏「いや僅差ではなく大分墺有利だね、次の増設でF造らなかったら大分遠のくが。」

私「渦中にいると目が曇るな、仏が僅差で有利くらいに考えていた。」

氏「それは独として仏に対峙していたからだろう。 見事なプレイだった。」

私「最優秀(健闘)PLを仏、最も制覇に近いのが墺、ということで問題なさそうだね?」

氏「そうだね。」

 

各国短評(という名の、あくまで筆者の感想)

良かった国・仏と墺

 

フランス共和国

 

MVP国。 初期包囲から始まった盤面だが行軍で凌いで態勢を整えつつ、外交で多数派を切り崩し反撃。 その後も自国が最大の利益を得られるように外交と行軍を調整・実行できていました。 これが2回目のプレイという事で「後生畏るべし」。

 

「なんという冷静で的確な判断力なんだ!!」(画像略)

 

オーストリア・ハンガリー帝国

 

「多数派に自国を組み込んでその中で最大の利益を上げました」で終わってしまうのですが、孫子も「故善戰者之勝也、無智名、無勇功 (蛇足---戦上手は(勝つべくして勝つ戦いをするので)知恵者だとか勇者だとか言われない)」と言ってるように本来はこちらが王道か。

それにしても露土の「崩れ」が大きいので運の部分が大きいようにも見えますが、そうなるよう感情誘導を仕掛けたのなら力量、それで動くPLがそこにいたなら幸運であり、運も実力です。 制覇に最も近い国。

 

普通の国・独と伊

 

ドイツ帝国(筆者担当国)

 

「へたこいた場面もあるが、平均以上のドイツ」とはN氏評、個人的には「普通」。

よくできたAIに「難易度・普通の独としてプレイせよ」とか命じたらこんな感じになるんじゃない?みたいな感じ。

夜勤明けで充分睡眠がとれなかったからなー あと睡眠時間を確保するため朝食も食べないままプレイしたしなー あと「初心者会」と銘打った今卓に人数の都合とはいえ参加した引け目もあったろうなー あとは…

 

イタリア王国

 

自国を多数派に組み込み、明確な目的意識で合理的に軍を動かしていたように思いますが、墺と違って「多数派の中での貧乏くじ」側になってしまいました。

前述したように東側の「崩れ」を不運と見ることもできますが、レパントという「収穫に時間のかかる」作戦を採るなら墺の主導権を制限する策を打つ必要がある様に考えます。

具体的には01秋終わりの露の増設を三国対土に向けたA Sevとし土の崩壊を早めるとともに墺が露を攻撃した場合の抵抗力を増す、そして02春の独軍の動きを対仏全面攻撃に誘導する(英独伊の三国会談で話すのが良いでしょう)、これらは「御尤も」な内容であり通ったであろうし、この部分だけでも未来は大きく違った内容になったと思います。

盤面全体をコントロールする視点でプレイすればより良い結果が生れたかもしれません(誰がどの口で言ってるのかは別として)。

 

良くなかった国・英と露と土

 

ロシア帝国

 

戦線が広い露は少数派になると一気に攻勢を喰らいがちであり英仏が序盤ガチ殴りしあった今卓では多数派形成に苦しむことになります。 ただ英仏激突はかなり明示的であり、土がF Ank-Blaを選択しない見込みなので露としては独墺と組む動機づけとチャンスはあり、その場合露は独墺とそこまで相性が良い国家ではないので組む(または組まざるを得ない)なら「大きく支払う」必要があると個人的には考えてます。

具体的には南ではトルコアタック(F Sev-Bla,A Mos-Sev)やF Sev-Rumからの秋のブルガリアンギャンビット、または北ならStpシステム(A Mos-Stp含む行軍)の採用などであり、また違った未来があったと思います。

 

オスマントルコ帝国

 

中の人とは「向こう様のご厚意により」お付き合い「頂いている」関係であり、最大限穏当な表現にしたいが… 「かなりひどい」と言わざるを得ないですね…

麻雀に例えると「發と中をポンした相手に生牌の白を切って役満に振り込む」とかそんな感じ。

正直楽しんで頂けたのなら何よりです。

 

イギリス王国 は次に記載

 

英仏の明暗を分けたもの

英は初回、仏は2回目のプレイでしたが両国ともに明確な目的意識とそれに向かって合理的に行軍を選択できており非常にレベルは高いと感じました。

振り返れば仏の包囲網からの逆転劇は鮮やかで劇的ですが、意地の悪い言い方をすれば「多数派形成に失敗したのでそうならざるを得なかった」訳で、最初から英独墺伊のラインに組み込めた英の方が有利だった筈です。

しかし仏は西側の勝者となったのに対して英は「独に使い捨てられるのを嫌って反転、結果仏に使い捨てられた」といった盤面になったのは何故でしょうか?

 

なぜなぜ分析してみましょう。

 

①なぜ英の対仏は成功しなかったのか? ⇒ 独の対仏姿勢が弱かったからである。

②なぜ独の対仏姿勢は弱かったか? ⇒ 独は対仏より対露を優先したからである。

③なぜ独は対露を優先したのか? ⇒ それが有利だと判断したからである。

④それは英の国益に合致するのか? ⇒ そうは考えない、が具体的に英から具体的な行軍要求は無かった。

⑤なぜ英は独を自国に最も有利な形で動くよう要請しなかったのか? ⇒ ???

 

これは独は「英が何も言ってこないのを良い事に好き勝手した」という事であり褒められたものではないですがそれならば、英は独に「私は貴方に何も要求しない、何も言わない、が貴方は私の意を汲んで(何も言われなくても)私に最良となるよう推し量り、実行すべきだ」となり、「随分と良い態度」であるようにも思います。

 

実際仏は01春にウェールズOPで開始しており、独に「こちらはF Lon-Engしますからそちらは当然A Mun-Burしますよね?」と言われたら言い訳は困難ですし、言えて「A Mun-Burはフランスが支援付きでBurに進軍した場合に無駄になるのでRuhに行かせて欲しい」くらいです。 

もしそれが通ったとしても、02春の盤面で「確実に入れるのだからBurに支援付きで行軍せよ(もしくはA Bel-Picせよ)」と言われたら「もちろんそうします。 お待たせして申し訳ありませんでした。」以外には言えない場面です。

なぜ英はそうしなかったのでしょうか?

 

もう一点考察します。

 

03春に英は独を切り英仏路線へ転換しました。

その理由は「英独のパワーバランスの崩壊」であり、実際独は英を「使い潰そう」としていた訳でこの判断は妥当であろうと考えます。

では今度は「英仏のバランスを保ち(というよりは英優位な形で)ながら多数派を構築し、制覇を目指す」にはどうすれば良でしょうか?

 

 

03秋行軍を見たN氏からこう尋ねられた。

「A Ruh - Bel,A Hol S (A Ruh - Bel),A Bel - Bur,A Mun S (A Bel -Bur)で良くないか?」

「A Belの行き先がないから対仏転換の方が自然だろ。」と。

実際私もそう思います、ではなぜそうならなかったのでしょうか?

 

独視点での答えは「反転後もう英は明らかにこちらと交渉する熱が消えていたから」です。

もし仮に「英独のパワーバランスの崩壊を懸念してこのような行軍を取りました」の次に「なので「あれあれ・これこれ」してくれればそれは解消されるので、もう一度組みなおしますよ」とか、「ここから英独組みなおすのであればどのような形が最良かご教授願えませんか?」みたいな働きかけがあればドイツPLは(ガバ勢ではあるが)上記行軍ぐらいは提示できたであろうし、英のBel確保と独のBur突破という状況が生まれたかもしれません。

英には「勝手に独がBel放棄してBur突破に向かった」で済みますし、独には「合意履行しました。 今後ともよろしく。」となり、盤面見た上で増設で明日の主導権を確保できたでしょう。

 

結論に移ると「英仏の明暗をわけたもの」、それは交渉姿勢です。

英は独との協調時に彼に要請しなかったことで協力をうまく引き出せなかったし、敵対時には妥協点を探ること(またはそれを装っての欺瞞を仕掛けることが)が出来ませんでした。

逆に仏は包囲網を断ち切るために常に相手と交渉し、妥結しようとしていましたし、それは自国の有利不利にかかわらず終始一貫していました。

この部分が03秋に独の行軍に反映され、以後は英独共に仏に主導権が(外交的にも盤面的にも)完全に移行してしまいました。

 

まとめ

ディプロマシーとは「同盟を結ぶゲーム」であるが同盟の目的は「自国の勝利のために他国から最大限の協力を引き出す」ことに他ならず、そのために常に同盟国を自国有利に動かすよう交渉しなければなりません。

また「昨日の敵は今日の友」なら「今日の友は明日の敵」であるのがディプロマシーであり、敵を永遠の敵としないように交渉しなければ明日の敵に対抗できません。

つまり「味方には厳しく敵には優しく」常に交渉し続けるべきであり、そうして初めて次の格言が実行できるでしょう。

 

 

以上となります。

ご同卓頂いた皆様に感謝いたします。 ありがとうございました。

ディプロマシー考・中立という『自壊』

 

 

 

――― 『わたしは断言してもよいが、中立を保つことは、あまり有効な選択ではないと思う。』 ニコロ・マキャベリ

 

 

ディプロマシー「うまくプレイできない人」に顕著に表れる傾向が、中立的な言動(つまり外交と行軍)をすることにあります。

 

例を過去卓からピックアップしてみました。

 

『ドイツの方針としては英仏両国と友好関係(のふり)保ちながらチャンスを伺おうとの考えでした』初回独PLの発言

 

『みんな様子見でスタートしますよね』『序盤に喧嘩売っても旨みないです』初回英PLの発言

 

また行軍では、直近にプレイしたボイスチャット会では7国中4国が初年度春に維持命令を含む行軍でした。

 

こういった例を拾っていけば限りは無いですが、ほとんどの場合において、

中立的な外交と行軍を行ったプレイヤーは、勝利することも、何かを成すこともありませんでした。

 

なぜそうなるのでしょうか? 2つの点から考えていきます。

 

 

 

 

ディプロマシーの基本構造を4コマにしてみました。

上記を文章化すれば、

 

A 他国と同盟し共同して敵国を攻撃する。

B 同盟は盤面全体で多数派になるように、形成する。

 

  • 代表的なのが、独墺伊を包囲する『端国4国連合(英仏露土)』だったり独墺伊の中央三国同盟に(大体は独墺と相性の良い英、墺土同盟を活かした土)を加えた『中央三国+1、+2』などがあります。

 

ということであり、ここから

 

C 同盟国間でも、自国に最も利益を得られる形に盤面を形成するために外交と行軍を調整する。

 

と続きます。 続きますが、CはまずBまで持って行けないと行えません。

 

ですから、ディプロマシーの交渉とは同盟による多数派の形成と維持、少数派になってしまった場合には多数派の切り崩しや多数派への乗り換え、といった内容が主となります。

 

ですから、「中立」と言った時点でこの枠組みから自分から外れることになります。

 

私は初回の方と同卓した経験は結構多い方で、「まず最初は中立で行きます。」みたいなこと言われることもまた多いのですが、心中は「じゃあ私にはどうしろっていうんです?」みたいになっています(勿論「それはあまり良くないですよ」みたいな説得はしますが)。

そんな時にもう一方の同盟候補国から具体的なプランを提示されたり、またはこちらの提示するプランを承諾頂いた場面では、同盟が成立するでしょう、そうするしかないからです。

 

――― 『「中立」という単語を口にしたプレイヤーは相手にしないことにしている。 相手にする価値が無いからだ。』 LI氏

 

 

 

  • 「中立」をなぜ選ぶのか? その場合の影響

 

正直、私は「中立」をなぜ選ぶのか?良く解っていません。 

ただ相手に聞くことはできるので、その理由を聞いてみると大体において、

「まずは状況を見定めたい。」みたいな答えが返ってきます。

 

状況がはっきりしないので中立、という訳です。

 

ちょっと厳しい表現かもしれませんが、私はこれを「自壊」に他ならないと考えてます。

 

まず、自国に有利な状況を構築するために外交時間が設けられています。

その間にプランを構築し、(相手の理解度に合わせた形で)他国に(友好的な笑顔と態度で)提示し、協議し、妥結し、その結果をもって次につなげる形でさらに多数派を獲得するために動き、といった一連の行為が必要となります。

状況を「はっきりさせる」ための努力こそが外交です。

 

それが終われば行軍です。

今までの流れを振り返り、一番良い形はどうあるべきでしょう? 

こうだ!と思う形はあるでしょうが、明示された要素で「何か」が保証されないのがディプロマシーです。

それ故、確実に「はっきりした(担保された)」状況はありません。

実際思っていたのとは全く違った展開が起こることなど珍しくもないです。

ですが、それらの不安や疑念に打ち勝って初めて交渉に沿った行動がとれます。

 

しかし「中立的な外交や行軍」を取ればそれらに向けた姿勢のすべては必要無くなります

 

ですが同時に「状況をコントロールしよう、そのために全力を傾けよう」「状況は完全にコントロールできるわけでは無い、がその上で決断しよう」とする意識も同時に失われます。

そしてディプロマシーで大切なのは正に上記の「姿勢」であり、「中立」からはそれは生まれないのです。

 

――― 『状況? 状況だって? それが一体どうしたって言うんだね? いいかね、状況というものは私がつくるのだ!』 ナポレオン・ボナパルト

 

 

 

まとめ

 

私の知るベテランは皆「中立」といった考えに基本的には否定的であるようです。

それはゲームの構造に適合しない、といったことだけではなく、外交や行軍における「良い姿勢」に反しており、実を結ばないからです。

 

――― 師曰く『あなたがディプロマシーで中立的な外交・行軍をとっているということは、「あなたはうまくプレイできてない」ということです。』 

 

以上

 

補記

 

「中立」がそんなに失敗しなかったり、逆にうまく行く場合もあるように思います。

全員が初心者だったり、ほぼほぼそうだったりする場合です。

なぜそう働くのかは今回は割愛。

逆にベテランの割合が多い場合、中立的な言動が良い方向に働く可能性はその割合に反比例することになるでしょう。 今回の内容が非常に強く影響するからです。

ストラグル・オブ・エンパイア イギリスプレイレポ(初回プレイ)

 

「これやりませんか?」言われたときに「絶対これ好きなやつだ」と思った本作。

実際とても面白かったのと、あと「事が全て上手く運んだ」のもあり忘備録として記す。

ゲームのルールやシステムにはほぼ言及しないので興味のある方は、

 

https://www.youtube.com/watch?v=DaX-0fMG3Es

 

https://bodoge.hoobby.net/games/struggle-of-empires

 

などを参照されたし。

 

注意・国家が諸地域に有している拠点およびそこから得られる勝利ポイントを「権益圏」と以下では呼称。

すべて記憶に頼って記載してるので、実際とは違った点あった際はご寛恕ください。

 

4人プレイ イギリス(自分)・スペイン・プロイセン・ロシア

ネーデルランドオーストリア・フランス)の三国はNPC

 

 

第一戦役

 

まずランダムに自国の拠点が各地域に配置される。

イギリスはドイツ諸邦や地中海といったゲーム屈指の豊かな地域を含むヨーロッパを中心としたエリアを確保することになった。

これは第一戦役から高得点が狙えるというメリットはあるが、軍の移動が容易なヨーロッパは一度火がつけば容易には収まらないであろう。

 

「なるべく穏やかに過ごす(初期基盤が優位なので)」を基本方針としてプレイすることに決定する。

 

しかしそもそも大きな動きが無い。

 

覚えているのはイギリスが他国が見逃していた中米の植民ポイントを確保し、単独首位となったこと、プロイセンオスマン帝国のイギリス拠点を奪取したこと、報復としてイギリスが彼の北米拠点を奪取したことくらいである。

 

そのまま静かに第一戦役を終えてみると、いずれの国家も自国の将来へ向けた動きに終始し、他国へ向けた積極的な働きかけは低調であった。

これは特別効果タイルを序盤に集めたいこと(枚数が限られているし、一戦役に一度のみ使用できる等の制約があるため)や、軍備に最初から投資したくないこと(維持費の関係から)、植民で拠点を築けること、などによるものに起因していたようだ。

 

・・・

 

第一戦役終了時の勝利ポイント集計ではイギリスが他国を9ポイント程度リードする。

それを見た英PLは「いやぁ、9ポイント程度大した差じゃないですよ。」と発言。

9ポイント差は兎も角、「その差を生み出す権益圏の差」は放置し得ないと思われるのだが、そんな解り切ったことは一々口にしないのが紳士というものである。

 

 

第二戦役

 

PL陣営の組み分けは引き続き同じグループとなり始まったこの戦役では、

プロイセン・ロシア連合の激しい攻撃にイギリスが晒され、スペインはそれを放置する、という流れに当然なる筈である。

「みんななかよく」拡張していったならば勝利ポイントの差は拡大する一方なのだから。

 

しかし「敵がガッショウするならレンコウのサクを用いよ」とチョウギは言った、マスター・シバセンもシキにそう書いている。

 

蛇足・秦が強大化すると蘇秦の言に従い六国は合従して対抗した。 それに対し秦は張儀の連衡策(それぞれと個別に盟約)を用いて各国を切り崩した。

 

・・・

 

初手プロイセンは英領バルト海に艦隊と陸軍を派兵。

対するイギリスは同数の軍を派兵、勝負は五分である。

ここでイギリスはスペインに援軍を要請。

当然スペインは断るがイギリスは、

バルト海の協同首位をスペインに譲渡、それに必要な軍をイギリスは提出する。 またオスマン帝国プロイセン拠点をスペインが攻略する、それに必要な軍をイギリスは提出する。」

と交渉、これをスペインは受諾しバルト海に援軍を派遣。

 

こうして第一次スウェーデンの戦いは英西連合軍がプロイセン軍を圧倒的兵力で撃破する。

プロイセンはこの後も中米のイギリス拠点を攻撃するも1拠点のみの攻略に止まる。

 

イギリス外交はロシアに対しても行われる。

英露はゲームで最も豊かなドイツ諸邦で協同首位であり、北米など拠点が競合している地域が多い。 これを活かし、

 

「貴国がドイツに派兵すれば我が国も派兵し、貴国が他地域に派兵すればドイツは保てません。 この第二戦役では我が国は権益圏を拡大しませんからその間に拡張されれば良い。 互いに不可侵条約を結びましょう。」

と提案し、これも受諾される。

 

こうしてイギリスは他国の(あるべき姿である形としての)連携を切り崩すことに成功。

第二戦役では軍事力の拡張とスペイン支援にひたすら専念する。

 

スペイン支援であるが、もちろんイギリスの真意としては、

スウェーデンの戦いに協力して頂いたことに対する感謝の表れ」以外の何物でもないのだが、結果的には、

 

A・スペインの軍事力増大を抑止(イギリスが手を汚してくれるのに自国で軍を用意する必要があろうか?)。

B・スペイン拠点諸地域にイギリス軍が配置される。

 

といった効果ももたらした。

Aはイギリスがどうこうできる事案ではないし、Bはプ露両国からの防衛である。

 

それ以外に何ら他意はないのである。

 

・・・

 

第二戦役終了時の勝利ポイント集計ではイギリスと他国との差はむしろ広がった。

イギリスは権益圏を拡張していないのは事実であり、権益圏自体の差は急速に縮まったのだが、それが逆転し、勝利ポイントの差を埋め、逆転につなげる機会は後一度だけである。

 

 

第三戦役

 

ここでイギリスは軍事力第二位のロシアとの同盟を提示し、大金を(借金して)支払う。

スペインはそれを上回る金額を出してそれを阻止しようとするが、イギリスは、

 

「この借金で我が国の不安度は列国で最大になり、ペナルティのマイナス7ポイントを受けることになるでしょう(この時点での英西の差は11ポイント程度)。 それはスペインにとって大きなメリットですのになぜ阻止されるのですか? 私は少しリードし過ぎてしまった故このように申し上げているのです。」

 

と説き、スペインは金額の提出を取りやめる。

 

この言葉のどこにも嘘はないのだが、

まあ違った解釈は可能だろう、とも思う(英露が組むと必然的にスペインとは同盟外となるので)。

ロシアがなぜ妨害しなかったのか、は不思議であるがロシアも軍拡故国庫不足であり、不安度もため込んでいたのでそれを危惧したのかもしれない。

 

こうして第三戦役がスタートした時点でイギリスは、

誰よりも高ポイントで、誰よりも豊かな権益圏を確保し、誰よりも強大な軍備(ちなみに国庫収入は軍隊維持費ですべて溶ける)を備え、次点で強力な国家と連携する、といった「もう少しこう何というか 手心というか...」な状況。 

 

・・・

 

簡潔に記す。

 

初ターンにスペインはバルト海に派兵。

これをイギリスは「プロイセンバルト海攻略の先兵である」と判断(プレイ時はそう本気で思ってたのだが、思い返せば単に安全保障上の行為だったかもしれない)、軍情報部もそれを示す電文を「発見」したこともあり、英西は即時開戦。

 

こうして始まった第二次スウェーデンの戦いはイギリスが敵軍の2・5倍の戦力を投入し勝利。

同時にオスマン帝国のスペイン拠点を「守備」していた軍に攻略を命令。

こちらは3倍の戦力差であり、圧倒する。

 

それ以上戦う必要もないので停戦し、各国間での争いも他に起こらずゲームは終了する。

 

・・・

 

第三戦役終了時の勝利ポイント集計ではイギリスが首位となり勝利した。

他国との差は15~20ポイント程度であり、これは他国が一戦役で獲得する70~95%に相当するので大きな差であろうと思う。

最終得点集計前

 

 

ゲームのまとめ

 

第二戦役に他国がオールでイギリスを叩くべき盤面でそうさせなかったのが最大の勝利ポイントであり、ほとんどここで決まっていたように思う。

 

4人プレイなので、

A・「他国を抑止するコスト」は5~7人プレイに比べ格段に増加している。

B・しているからこそより早い段階で、より強力に抑止せねばならない。

となる(と愚考する)のだが、Aの部分を上手く強調できたのが功を奏した。

 

それに加えて第三戦役でも英露連携に持って行くなど、抜かりなく戦えており、それが結果にも反映したようだ。

 

・・・

 

今回のプレイは全員が初回者であり、ゲームの感覚がまだ手探りだったことも大きく益している。

経験者のみで行われたならもっと序盤から難しい決断を迫られることだろう。

 

同卓頂いた皆様に感謝申し上げるとともに、そんな日がくればいいなぁ、と思いつつ、駿河屋で今作をポチりつつ筆を置く。

メガシヴィライゼーションにおける「拡張」と「抑止」に関する一考察

(注意)以下の文章は全プレイヤーはトップを目指してプレイする、を前提に書かれております。


まずメガシヴィライゼーション(以下メガシヴィ)には「拡張」と「抑止」の要素が存在します。
この二つの要素を考え、その上で1位を目指すにはどうすれば良いのか?を初心者ながら考えてみます。


メガシヴィにおける拡張とは


拡張は


① 人口を増加させ都市を立ててそれを維持して交易品カードの獲得枚数を増やし、
② そのカードを基に交易し、技術カードを購入し、
③ 技術カードが①②をさらに容易にする。
の繰り替えしになります。

 

勝利点のほとんどが技術カードとAST(時代進捗度)で決まり、ASTの進捗の大きな壁が技術カードです(都市数もありますがこれの回復はかなり容易です、少なくとも要求される最大数5は)。
よってメガシヴィでは適切な技術カードを適切な時期に(またはより早期に)獲得する必要があります。

 

で、この獲得の資本となるのが交易品カードです。 この交易品カードには同種類のカードをよりたくさん揃えるとボーナスが発生するという特徴があります。
このボーナスは非常に大きく、高レベルの交易品カードがバラバラな状態よりも低レベルのそれがたくさん集まっている方がより大きな点数を生み出します。
極言すればメガシヴィで勝つためには「交易品カードを揃えれば良い」と言えます。

 

交易品カードを揃えるためには交換時間に相手と協力しあう必要があります。 「メガシヴィは協力してお互いに成長しあうゲームです。」と言うのはここの部分ですね。
ただあくまでもこの「協力」というのは相手<=自分で成立するものであって、結果的にはすべてのプレイヤーより多くのものを獲得するプレイヤーが生まれます(ここの「獲得」は直接的な点数だけではないとは思いますが)。
交換で成功したプレイヤーは他プレイヤーに対して優位に立ちます(より多くの・より有効なカードを手に入れます)。
ここで問題なのは「優位に立てなかった」プレイヤーが「優位に立った」プレイヤーに交換のみで逆転するのは非常に難しいと言う事です。
なぜなら技術カード自体がボーナスを生むので完全に均衡した交換でも差が開いていくからです。

 

そのことは「優位者を抑止する」要素を生じさせます。


抑止とは


メガシヴィで勝つためには「交易品カードを揃えれば良い」のですから勝たせないためには「交易品カードを揃えさせなければ良い」訳です。

この為には


① 交易品カードの入手源を断つために相手の都市を破壊する → 戦争
② 交易品カードを揃えさせない → 交易封鎖
があり、この二つを考えてみます。

 

まず戦争ですが、、、この要素のメリット・デメリットを論じる前にハッキリ言ってこの要素は「嫌われてる」ように感じます。
この「嫌われている」を分析すると多くの要素が含まれいて、かなり長くなるのと嫌われている部分を書くのもあれなのでバッサリ割愛します。
恐らくですが戦争が「メリットの獲得のため」「抑止のため」といった勝利を目指すための行為ではなく、戦争それ自体が目的になったりヘイトのぶつけ合いに堕すシーンが多く発生したからだと考えています。
「戦争は結局は損です」という発言をよく聞きますが、これは説明の短縮+その辺を表してるんだろうなあ、と理解しています。

 

次に交易封鎖です。
この行為を「優位者との交易を断ち、それ以外のプレイヤーで交易品カードを交換しあう」と定義します。

実際にも

https://www.yurudie.com/game/sharyo006

で行われていましたね。

 

これをやられると封鎖された側は非常に困ることになります。 何せカードを揃えることが出来ないからです。
さらに封鎖側の抑止にかかるコストは非常に低いです。 
例を挙げてみましょう。 9人プレイで1プレイヤーが独走状態でそのプレイヤーに8名が封鎖します。
封鎖側が失ったのは交易品の(大体)11%とアクセスする機会です。 ただこの機会損失は8名平等に受け取る訳で、実際には1プレイヤーに負担が圧し掛かります。
これは封鎖によって優位者がそうでなくなり、またターンの経過で封鎖されたプレイヤーが自前で交易品カードが拡充されることで彼との交易にメリットを感じた封鎖側が崩れることで自然解消することになります。
だから別に永遠と続く訳でもないです。


このように抑止は強力であり且つローコストです。


なぜ抑止が機能しないのか? 


抑止が機能しない理由として


①優位者がそれを隠匿するのに成功 →

これは優位の本質が技術カードであり、数値として明示されているから難しいと思わます。 ただその「解釈」をあれこれ理由付けするのは有効に作用することもあるでしょう。 正直プレイヤーレベルに大きく左右されるでしょうね。
②抑止行為に関する生理的な忌避感 → 

抑止とは攻撃であり、相手を攻撃するという行為自体に忌避感を持つボードゲームプレイヤーは多いです。 これはこれで相手の考え方なので尊重しましょう。
③1位を抑止する動機のないプレイヤーの存在 → 

ここをメインで考えてみましょう。
1位を抑止する理由とはそうすることで自分が1位になれる機会が発生するからであり、その機会がないプレイヤーからすればどうでもいい話です。
それに2位3位から1位を狙う動機づけはプレイヤー皆が強いでしょうが、正直8位から7位に上がるための動機づけを同じレベルで保つ自信は自分にもないです。


勝利のために・上記を踏まえた結論

 

戦略1・・・
序盤から優位を確定させ、その優位さは徹底的に誤魔化す。 「これはそこまで優位ではないのですよ」「自分ではなく実はA国が有利なのですよ。」という具合。
抑止行為を発生させない、させても軽度に留めるために徹底的に感情面でのマイナスを無くしプラスを高める。 心理面での動きが大きい国を「友好国」化する。
盤面を混戦状態に持っていき、上位層と下位層を分離する。 抑止に協力する動機付けを持つ国を減らす。

初心者が多く、経験者との位置関係によって有効に働く戦略だと思います。

 

戦略2・・・
優位の確定をできるだけ遅らせ、その差を最後に縮める。 または敢えて2位につく等して抑止を自国に発生させない。

経験者が多いときに有効だと思います。

 

以上です。

 

2022年9月11日 対面戦ディプロマシー会・上野上さまにて 行軍譜と雑感

レギュレーション

 

1907年増設まで14ターンプレイ・外交時間は初年度春のみ45分、以後25~15分。

プレイ目標・制覇を目指し、制覇不可能と判断した場合は停戦生存を目指す。

14ターン経過時に制覇確定国があればそれを勝者とする(生存国と認められるにはGSL形成に組み込まれていることが条件。 14ターン経過での逃げ切りは不可)。

 

注意・自分は今回は露をプレイしましたが外交には関与せず、「自分が盤面の推移を外から見たもの」と仮定して内容は記載しています(一点除く)。

 

1901春行軍

露土はスリングショット・ジャガーノートの構え。 伊の不可解な動きもあり墺は苦しい展開に。 露土のアライアンスに対して英仏が呼応し同盟し中央三国撃破へ、とはならず西欧三国の形となり、草々に露の苦境が見えます。

 

1901秋行軍/露のF Ankは解体

露土は予定通り。 スリングが見えてるのに伊が対墺するのも不可解ですが仏の全力対伊が見えてるならTriは「借りる(墺の意向がどうあれ)」必要はあったのかもしれません。

露はマルデブルグを誘ったかBot Hも不発で英のイースタンプッシュを受けます。 独は悠々と3増を得て良いスタートですね。

 

1901増減

ほぼ予定調和ですが伊のA Ven増設、仏のF Marが見えているのだからF Romでも良さそうなものだがどう動くか。

 

1902春行軍

大きく盤面が動きます。 露は英をSweへと誘導するもこれまた不発。 仏がNafへとAを輸送し伊はTunが危うくなるだけでなく墺にIonへ入られ危機的状況に。 ただこの伊の行軍は…。 A増設でこれでは何をしたかったのかよく解らないし、なぜA Pie Hなのでしょうか?

土は墺土へアライアンスを切り替えたようですが墺土同盟での墺の取り分であるRumとSevを先取りしてしまっているし、土6墺4では土が有利過ぎて同盟は成立しません。 うまくここを調整できるでしょうか?

 

1902秋行軍/露のA Galは解体

ここで仏はMunか英と協力しBelを攻略できれば西欧の覇者になれていたかもしれない。

独が征露のため東進し兵力が分散している今が攻撃の最良のチャンスで、2増設された後ではBurが保てず、独の反転攻勢に対処できません。 露を贄に奉げた意味がなくなり、ただ対象国を失っただけの結果となってしまいました。 またA Spa-Porも合わさりMarを失います。

対露戦が終われば独仏英の組みなおしが始まりますが、地中海に艦隊を釘づけにされている仏と独が組むメリットはないため、もう独仏はパートナーとなり得ず、どちらが先手を取れるか、それだけです。

 

また墺がBulに飛び込んだことで墺5土5となり墺が土と組みなおすチャンスが生まれましたがBulインは合意ではないだろうから…。

 

1902増減

土の増設がFであればRum,SevとGre,Bulを交換で墺土同盟は可能だったかもしれません。

墺にとっては、間近の英独戦争に呼応して対独戦に入れる(これは北側のGSLを大きく超えるチャンスです)メリットがあるし、土にとっては地中海方面へ拡大する機会。

だがA増設なのでその線は低くなりました。 この形から墺土が戦えば土有利ですが、土単独での墺撃破はどのくらいの時間を取られるでしょうか?

 

1903春行軍

独が仏に雪崩れ込む。 伊のMar突破がどうあれBur突破は行われていたでしょうが大きく楽になったことは確かです。 

英の動きですがここだけ外交を明かすとF Nth-Belは合意。 ただこれは私には英にこのターンから対独に動かれないための欺瞞にしか思えませんでした。

露は「別に独に義理立てする理由もなし、折角運ばれたAですからA Mos S (A Stp-Lvn)しましょうか? 少なくともSOにはなりますよ。」と言ったのだが断られたのでA Mos-Stpとなりました(A Stp-Lvnを実行するしないは別として断る理由も解らないですが)。

 

墺土間でどのような交渉が行われたのか不明ですが、土は貴重な時間を失います。

 

1903秋行軍/英のF Holは解体

Lvnへの移動を見て流石に英は対独に動きますが1ターン遅く、これが致命傷となりました。 春から動いていれば独領を2つ削れましたが…。 

 

1903増減

土は2増するも対墺戦での行軍判断が悪く、有機的に活用できる部隊配置になっていません。 独の拡張が速そうな状況でどう動くか。

1904春行軍/独のF NthはEdiへ撤退

露がここで消えます。 英も5部隊を持ち、中々に強力ですが自国に呼応してくれる対象国がいないのでは国力の差をひっくり返すことはできません。

 

1904秋行軍/英のF NwyはNwgへ撤退

1904増減

独12土7。 

 

1905春行軍/英のA SweはFinに撤退

1905秋行軍/墺のA TriはBudに撤退

1905増減

独が土を引き上げて、独12土10。 

 

1906春行軍/独のA StpはLvnへ撤退

私はここが独制覇へのターニングポイントとなったと考えています。
ここで墺は土を伸ばし自分はGSLに組み込まれる動きをとりますが、A Ukr S (A Rum-Gal)ではなくA Ukr S (A Rum-Mos)であるべきでした。 A Wal-Galの可能性は低く、英軍がまだStp付近で残存してる状況だからこそMosへ移動し、そこからWarを狙ったり英のStp生存をサポートしていれば独は確実に制覇へ足をかけることはできなかった(筈)。

ただ1駒の動きが勝敗を分けるのがディプロマシーというゲームであることが良く解る盤面ですね。

 

1906秋行軍

F Lvp HやF Wes-Tysも上に同じ。 F Edi-ClyとF Eng-Maoの成功も大きいです。

 

1906増減

独13土11。

1907春行軍

1907秋行軍/仏のF WelはIriへ撤退、伊のF Tunは解体

英がここで滅亡しました。 またここで土が伊領を減らしてしまったために次の状況が生まれます。

 

1907増減

ここでゲームは終了。 レギュレーションに従って独の制覇が確定されるのか判定します。
現在の国力は16補給地でありここから2つ積み増せるでしょうか?

 

まず前提として、Spaは確実に攻略できる(F Mao-Spa sc,A Gas S (F Mao-Spa sc),A Mar S (F Mao-Spa sc)し、Porにつなげるため必須となります。 

東部戦線では、Mosの攻略またはGalに侵入(これ自体がMosを確定化させる)、この二つをどちらかが必要になります。 そして土墺はどちらもブロックできます。

 

1908春行軍 仮1

1908秋盤面 仮1

ここからPorで2択が発生します。

仏土の動きがA Por-Spa,F Wes S (A Por-Spa)ならF Mao-Por,F Spa sc S (F Mao-Por),A Gas S (F Spa sc H),A Mar S (F Spa sc H)でPor確保で制覇できるがその対処としてF Por S (F Wes-Spa sc) or H,F Wes-Spa scされたら陥落しません。

F Por S (F Wes-Spa sc) or H,F Wes-Spa scならばF Spa sc-Por,F Mao S (F Spa sc-Por),A Gas-Spa,A Mar S (A Gas-Spa)で陥落しますが、A Por-Spa,F Wes S (A Por-Spa)されたら陥落しません。

またF Tys-Lyn,F Tun-Nafが入ればSpa,Porの両方をドイツが確保することは不可能であり、チャンスは1度きりです。

 

他には可能性のある補給地はないのでしょうか?

実は1908春行軍 仮1は読み負けの盤面で、ドイツは他にも可能性を残しています。 仮1はMos,Galを確実に守れますがそれを読んで次のような盤面も可能だからです。

1908春行軍 仮2

1908秋盤面 仮2

独はVie,Gal,Mosに対し6部隊投入可能なのに対し土墺は防御に6部隊充てれます。

が、どの地点に何部隊投入するかは独が決めるので防御側はそれに正確に対処しなければどこかが陥落してしまいVie,Mosなら1908年に、Galなら1909年に独の制覇が確定します。

またこの状況ですがPorと違って再チャレンジ可能な盤面として残るパターンも多いです。

 

また墺土が仮1・仮2以外の行軍をとればGalとMosで読みあいが発生してしまいその結果で独の制覇が確定します。

 

Mos確定防御に対しGalで読み勝った場合

Gal確定防御に対しMosで読み勝った場合

結論としてはPorで50%・Gal,Mosで50%、またはPorで50%・Bohで50%からのVie,Gal,Mosで33%をX回、となりました。 

これは自分がざっと見ただけなので他にもあるかもしれませんし、また最適解出した(と思われる)状態でこれですので「紛れ」なども考えると独の制覇可能性は80~90%位は見れるのではないでしょうか?

また1908年開始時に制覇に王手をかけられる盤面を構築できること自体が素晴らしい成果だと考えます。

・・・

総評

ディプロマシーに伏せられてるカードはありません。 盤面が全てであり、そこからやるべきことと可能性を探ります。 そのためには何より「盤面に軸足を置く(盤面を判断基準とする)」ことが必要です。

勿論それが全てではありません。 相手の感情に訴えかけるような交渉・外交姿勢も強力な武器です。 ただそれによって動くのは「相手の感情」であって「自分は醒めて」いれば理想的です。

それが出来ていたのが独PLであり、最終的な結果に結びついたと考えています。

・・・

 

盤面と結果の検証、あと余計な感想を持ちまして以上となります。

 

ご同卓頂いた皆様に感謝いたします。 ありがとうございました。

外交に勝つためのヒントのヒント

これは「https://www.ultraboardgames.com/diplomacy/tips.php」の解説、というか解説の解説、『ぼくのかんがえ』以上のものではないです。

全文翻訳は問題ありそうなのでタイトル以外はサイトと内容が違います。 原文を読まれた上でご覧ください。

 

 外交に勝つためのヒント

 

1 全てのプレイヤーと連絡を取り合う。

 

その対極にあるのが交渉時間の全てを2国間対話のみに費やす行為です。 

そのような光景を最近だけでも数度見たのですが、このような事を行うプレイヤーが良い結果につながったことは見たことがありませんし、あったとしても非常にまれな現象です。

またそこまで行かなくても序盤から交渉相手が偏重してしまうプレイヤーは多く見られるのではないでしょうか?

 

 

なぜ「全てのプレイヤーを取り合う」ことが必要なのでしょうか?

「なぜそうしないのか?」「なぜ特定のプレイヤー(たち)とのみ外交するのか」

と言った点から考えてみます。

 

 

① 交渉時間の不足

 

交渉時間が何分あるか?でゲームは大きく変質しますが、たいていの対面戦では初年度春に45分、以後は30分を切るのが多いです。 これはこれ以上の時間をかけると1日では1905年にすら進めないので現実的にはこのくらいになります(合宿や「次回持越し前提」ならもっと時間は確保できるでしょうがハードルは高いです)。 

時間が足りないから交渉できない、という訳ですね。

 

② そもそもその必要性を感じていない

 

本質的にはこちらの理由が大きいと考えます。 

逆説的ですが交渉時間を持て余しているプレイヤーに理由を問うと「誰と何を話して良いかわからない」といった答えが返ってくることが多いです。 おそらく特定の相手としか交渉しないプレイヤーも「その国以外とは何を話せば良いのかわからない」のではないでしょうか(実際そうとしか思えない盤面も多いのですよね…)?

これは①と負の相互支援になっていて、「交渉時間が少ない⇔特定の国以外と話す必要が無い(と感じる)」が連鎖しあいます。 

こうなると簡単に「全てのプレイヤーと連絡を取り合う」といった原則は破壊され、交渉時間の全てを特定のプレイヤー(たち)との間で費やすことになります。

 

 

次に「なぜそれが問題なのか?」を考えてみます。

 

 

軸となるのは「自立したプレイヤー」ということです。

ここでは「盤面(ゲームがどのような状況にあるのか)にしろ、そこに至った過程にしろ、相手に対する提案にしろ相手から受けた提案にしろ、自分の中に『基準』があり、それに従って行動を左右し勝利を目指せるプレイヤー」と定義します。

 

私はこれができることは非常に大切であり、ディプロマシーをプレイするうえで基本となると考えています。

なぜなら自立してないプレイヤーは、①ゲームを投げる ②ゲームの目的を(自分の中で)すり替える ③あるプレイヤーの完全な言いなりになる ④ ③を嫌って誰の言葉も聞かなくなる この4パターンに収束するからです。 厳しい書き方ですが、基準自体がないのですからどうしてもそうなってしまうのかもしれません。

こうなるとテーマである「外交に勝つため」に資することがないだけでなく、ご当人にとってもあまり楽しくない、と感じられるのではないか?と思います。

 

自立するためには多国間と交渉を行い、それぞれの内容を比較検討する必要がありますが外交する範囲が狭いとそれができません。 これが問題です。

 

 

最後に「ではどうすれば良いのか?」です。

 

 

まず「交渉時間の不足」への対処ですが、話す・聞く内容のポイントを絞りましょう。 交渉の最初に「交渉内容はここです」と定めることで問題を明確化します。

とはいっても慣れないうちには難しいので、「他の方ともお話ししないといけないのでX分でお願いします」と最初に時間を区切ると良いでしょう。 相手にも自分にも時間の意識を与えます。

交渉時間を自分との間だけで消費しようとする相手には要注意です。 相手の「意図」は兎も角、やってることの「意味」は、「俺の話だけ聞け、他の奴の話は聞くな。比較検討なんてするな」ってこと以外ではないですからね。

 

次に「そもそもその必要性を感じていない」ですが、これは「盤面を把握し、その中から可能性を見出せば交渉の種はいくらでも出てきます」となるのですが、これもはじめのうちはなかなか難しいですよね。 

私がお勧めしたいのは率直に交渉相手にそのことを告げる、というものです。

「今私はこのような状況なのですが、どうしたら良いと思いますか?」と聞いてみましょう。 相手があなたとの関係を望んでいれば、何かしらの提案はあるはずで、それを検討できます。 またこれだけでも他の交渉相手があなたに不均衡な取引を持ち出してくる可能性は大きく減少します(「こちらの提案が滅茶苦茶なのをばらされたらどうしよう?」という訳です)。

 

長々と書きましたが、このゲームのタイトルは「外交」ですから何より楽しむためにも活発に交渉してみましょう!

 

 

 

 1だけで本当に長い()のでここからは簡単に。

 

2 目立たないようにする。

 

(・・・できてない人間が語る内容じゃないんだよなぁ。)

 

3 「なるべく」真実を告げる。

 

必要な部分で必要な嘘をつくのはむしろ大切ですが、極力真実(またはそれに類するもの)を語るメリットは確かに大きいです。

一番良くないのはつく必要など全くない嘘をつくことで、これをやると「そもそも理解してない(できない)のではないか?」と思われてしまい、こうなると交渉自体が難しくなります。 理解できない相手と交渉しても無駄だからです。

 

4 少なくとも一人の友人と一人の敵を持つ。

 

ディプロマシーの交渉で話される内容の多くが「同盟の締結の誘いと、その切り替えの誘い」であり、このゲームの中心的な概念です。

同盟自体が敵に対処する必要から結ばれるものですから、敵ををはっきりさせないと「仲良くしてくださいね。」以上のものにはなり得ませんし、そのような同盟が機能するはずもないです。

 

・・・もうこれ以上に書くこともないんですが、「私の周りの強い人戦争しない人です」とか書かれてたり、慣れていないプレイヤーの多くが「中立的」な言動するの見るにつけ、この「敵を定めてこそ友人ができる」って概念が特に理解されてなさそう。

 

5 敵の敵は味方

 

そのまま。

 

6 維持命令は避けるように。

 

無意味な維持命令が出てるかどうかで初回者なのかそうでないのかが判別できるレベルで差が出る部分。

 

7 弱いプレイヤーを援助する。

 

これは難しい。 少数派に盤面コントロールされないために消す選択肢も有効だからだ。 

ただここでは、「一強になるな。 ライバルを(自分が越えない程度に)育てろ」との意味で述べられているか。

 

8 同盟国に忠実に。

 

これもタイトルだけでは誤解を招きそう。 

同盟それ自体は手段であって目的化してはならない点に留意。 最も忠実であるべきは自国だからだ。

 

9 敵の向こう側で味方を探す。

 

対象国について述べられている。 ただこれもそれ自体を目的化しないように。

対象国を絶対化するのはむしろ有害であるかもしれないが、無視して良いことは一つもないから。

 

10 楽しんでプレイし、ゲームの後には握手を!

 

そのまま。

2022年7月25日 対面戦ディプロマシー会・上野上さまにて 行軍譜

レギュレーション

 

1906年増設まで12ターンプレイ・外交時間は初年度春のみ45分、以後25~15分。

プレイ目標・制覇を目指し、制覇不可能と判断した場合は停戦生存を目指す。

 

1901春行軍

1901秋行軍

1901増減

1902春行軍

1902春撤退

1902秋行軍

1902増減

1903春行軍

1903春撤退

1903秋行軍

1903増減

1904春行軍

1904秋行軍

1904秋撤退

1904増減

1905春行軍

1905春撤退

1905秋行軍

1905増減

1906春行軍

1906春撤退

1906秋行軍

1906秋撤退

1906増減