我未足得木鶏

ディプロマシーについてあれこれ。

2022年9月11日 対面戦ディプロマシー会・上野上さまにて 行軍譜と雑感

レギュレーション

 

1907年増設まで14ターンプレイ・外交時間は初年度春のみ45分、以後25~15分。

プレイ目標・制覇を目指し、制覇不可能と判断した場合は停戦生存を目指す。

14ターン経過時に制覇確定国があればそれを勝者とする(生存国と認められるにはGSL形成に組み込まれていることが条件。 14ターン経過での逃げ切りは不可)。

 

注意・自分は今回は露をプレイしましたが外交には関与せず、「自分が盤面の推移を外から見たもの」と仮定して内容は記載しています(一点除く)。

 

1901春行軍

露土はスリングショット・ジャガーノートの構え。 伊の不可解な動きもあり墺は苦しい展開に。 露土のアライアンスに対して英仏が呼応し同盟し中央三国撃破へ、とはならず西欧三国の形となり、草々に露の苦境が見えます。

 

1901秋行軍/露のF Ankは解体

露土は予定通り。 スリングが見えてるのに伊が対墺するのも不可解ですが仏の全力対伊が見えてるならTriは「借りる(墺の意向がどうあれ)」必要はあったのかもしれません。

露はマルデブルグを誘ったかBot Hも不発で英のイースタンプッシュを受けます。 独は悠々と3増を得て良いスタートですね。

 

1901増減

ほぼ予定調和ですが伊のA Ven増設、仏のF Marが見えているのだからF Romでも良さそうなものだがどう動くか。

 

1902春行軍

大きく盤面が動きます。 露は英をSweへと誘導するもこれまた不発。 仏がNafへとAを輸送し伊はTunが危うくなるだけでなく墺にIonへ入られ危機的状況に。 ただこの伊の行軍は…。 A増設でこれでは何をしたかったのかよく解らないし、なぜA Pie Hなのでしょうか?

土は墺土へアライアンスを切り替えたようですが墺土同盟での墺の取り分であるRumとSevを先取りしてしまっているし、土6墺4では土が有利過ぎて同盟は成立しません。 うまくここを調整できるでしょうか?

 

1902秋行軍/露のA Galは解体

ここで仏はMunか英と協力しBelを攻略できれば西欧の覇者になれていたかもしれない。

独が征露のため東進し兵力が分散している今が攻撃の最良のチャンスで、2増設された後ではBurが保てず、独の反転攻勢に対処できません。 露を贄に奉げた意味がなくなり、ただ対象国を失っただけの結果となってしまいました。 またA Spa-Porも合わさりMarを失います。

対露戦が終われば独仏英の組みなおしが始まりますが、地中海に艦隊を釘づけにされている仏と独が組むメリットはないため、もう独仏はパートナーとなり得ず、どちらが先手を取れるか、それだけです。

 

また墺がBulに飛び込んだことで墺5土5となり墺が土と組みなおすチャンスが生まれましたがBulインは合意ではないだろうから…。

 

1902増減

土の増設がFであればRum,SevとGre,Bulを交換で墺土同盟は可能だったかもしれません。

墺にとっては、間近の英独戦争に呼応して対独戦に入れる(これは北側のGSLを大きく超えるチャンスです)メリットがあるし、土にとっては地中海方面へ拡大する機会。

だがA増設なのでその線は低くなりました。 この形から墺土が戦えば土有利ですが、土単独での墺撃破はどのくらいの時間を取られるでしょうか?

 

1903春行軍

独が仏に雪崩れ込む。 伊のMar突破がどうあれBur突破は行われていたでしょうが大きく楽になったことは確かです。 

英の動きですがここだけ外交を明かすとF Nth-Belは合意。 ただこれは私には英にこのターンから対独に動かれないための欺瞞にしか思えませんでした。

露は「別に独に義理立てする理由もなし、折角運ばれたAですからA Mos S (A Stp-Lvn)しましょうか? 少なくともSOにはなりますよ。」と言ったのだが断られたのでA Mos-Stpとなりました(A Stp-Lvnを実行するしないは別として断る理由も解らないですが)。

 

墺土間でどのような交渉が行われたのか不明ですが、土は貴重な時間を失います。

 

1903秋行軍/英のF Holは解体

Lvnへの移動を見て流石に英は対独に動きますが1ターン遅く、これが致命傷となりました。 春から動いていれば独領を2つ削れましたが…。 

 

1903増減

土は2増するも対墺戦での行軍判断が悪く、有機的に活用できる部隊配置になっていません。 独の拡張が速そうな状況でどう動くか。

1904春行軍/独のF NthはEdiへ撤退

露がここで消えます。 英も5部隊を持ち、中々に強力ですが自国に呼応してくれる対象国がいないのでは国力の差をひっくり返すことはできません。

 

1904秋行軍/英のF NwyはNwgへ撤退

1904増減

独12土7。 

 

1905春行軍/英のA SweはFinに撤退

1905秋行軍/墺のA TriはBudに撤退

1905増減

独が土を引き上げて、独12土10。 

 

1906春行軍/独のA StpはLvnへ撤退

私はここが独制覇へのターニングポイントとなったと考えています。
ここで墺は土を伸ばし自分はGSLに組み込まれる動きをとりますが、A Ukr S (A Rum-Gal)ではなくA Ukr S (A Rum-Mos)であるべきでした。 A Wal-Galの可能性は低く、英軍がまだStp付近で残存してる状況だからこそMosへ移動し、そこからWarを狙ったり英のStp生存をサポートしていれば独は確実に制覇へ足をかけることはできなかった(筈)。

ただ1駒の動きが勝敗を分けるのがディプロマシーというゲームであることが良く解る盤面ですね。

 

1906秋行軍

F Lvp HやF Wes-Tysも上に同じ。 F Edi-ClyとF Eng-Maoの成功も大きいです。

 

1906増減

独13土11。

1907春行軍

1907秋行軍/仏のF WelはIriへ撤退、伊のF Tunは解体

英がここで滅亡しました。 またここで土が伊領を減らしてしまったために次の状況が生まれます。

 

1907増減

ここでゲームは終了。 レギュレーションに従って独の制覇が確定されるのか判定します。
現在の国力は16補給地でありここから2つ積み増せるでしょうか?

 

まず前提として、Spaは確実に攻略できる(F Mao-Spa sc,A Gas S (F Mao-Spa sc),A Mar S (F Mao-Spa sc)し、Porにつなげるため必須となります。 

東部戦線では、Mosの攻略またはGalに侵入(これ自体がMosを確定化させる)、この二つをどちらかが必要になります。 そして土墺はどちらもブロックできます。

 

1908春行軍 仮1

1908秋盤面 仮1

ここからPorで2択が発生します。

仏土の動きがA Por-Spa,F Wes S (A Por-Spa)ならF Mao-Por,F Spa sc S (F Mao-Por),A Gas S (F Spa sc H),A Mar S (F Spa sc H)でPor確保で制覇できるがその対処としてF Por S (F Wes-Spa sc) or H,F Wes-Spa scされたら陥落しません。

F Por S (F Wes-Spa sc) or H,F Wes-Spa scならばF Spa sc-Por,F Mao S (F Spa sc-Por),A Gas-Spa,A Mar S (A Gas-Spa)で陥落しますが、A Por-Spa,F Wes S (A Por-Spa)されたら陥落しません。

またF Tys-Lyn,F Tun-Nafが入ればSpa,Porの両方をドイツが確保することは不可能であり、チャンスは1度きりです。

 

他には可能性のある補給地はないのでしょうか?

実は1908春行軍 仮1は読み負けの盤面で、ドイツは他にも可能性を残しています。 仮1はMos,Galを確実に守れますがそれを読んで次のような盤面も可能だからです。

1908春行軍 仮2

1908秋盤面 仮2

独はVie,Gal,Mosに対し6部隊投入可能なのに対し土墺は防御に6部隊充てれます。

が、どの地点に何部隊投入するかは独が決めるので防御側はそれに正確に対処しなければどこかが陥落してしまいVie,Mosなら1908年に、Galなら1909年に独の制覇が確定します。

またこの状況ですがPorと違って再チャレンジ可能な盤面として残るパターンも多いです。

 

また墺土が仮1・仮2以外の行軍をとればGalとMosで読みあいが発生してしまいその結果で独の制覇が確定します。

 

Mos確定防御に対しGalで読み勝った場合

Gal確定防御に対しMosで読み勝った場合

結論としてはPorで50%・Gal,Mosで50%、またはPorで50%・Bohで50%からのVie,Gal,Mosで33%をX回、となりました。 

これは自分がざっと見ただけなので他にもあるかもしれませんし、また最適解出した(と思われる)状態でこれですので「紛れ」なども考えると独の制覇可能性は80~90%位は見れるのではないでしょうか?

また1908年開始時に制覇に王手をかけられる盤面を構築できること自体が素晴らしい成果だと考えます。

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総評

ディプロマシーに伏せられてるカードはありません。 盤面が全てであり、そこからやるべきことと可能性を探ります。 そのためには何より「盤面に軸足を置く(盤面を判断基準とする)」ことが必要です。

勿論それが全てではありません。 相手の感情に訴えかけるような交渉・外交姿勢も強力な武器です。 ただそれによって動くのは「相手の感情」であって「自分は醒めて」いれば理想的です。

それが出来ていたのが独PLであり、最終的な結果に結びついたと考えています。

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盤面と結果の検証、あと余計な感想を持ちまして以上となります。

 

ご同卓頂いた皆様に感謝いたします。 ありがとうございました。